「ヒトラー選挙戦略」推薦文、高市氏の過去が再び脚光浴びるSNS議論の行方
SNSプラットフォームX(旧Twitter)上で、「ヒトラー選挙戦略」というワードがトレンド入りし、一部政治家の過去の言動が再び注目を集めている。特に、高市早苗氏が1994年に出版された同名の書籍に推薦文を寄せていたことが議論の的となっており、その是非を巡ってユーザー間の意見が激しく対立している。
この書籍は、1994年に小粥義雄氏が著し、千代田永田書房から刊行された「ヒトラー選挙戦略」。アドルフ・ヒトラーの選挙手法を分析し、現代の政治に応用する視点から書かれた内容とされる。しかし、出版からわずか2カ月でユダヤ人人権団体からの批判を受け、絶版となった「幻の書」として知られる。高市氏がこの本に推薦文を寄せていた事実は、2014年頃の安倍内閣における女性閣僚の辞任が相次いだ時期にも問題視されており、今回再び脚光を浴びた形だ。
X上では、この書籍からの引用とされる複数の文章が拡散され、物議を醸している。例えば、「あわてないで書類をひとつひとつ自らの手で整理して処分すべきです。書類は焼却しても良いし、どこか第三者の人に預けるのもひとつの方法です。いずれも自分ひとりの考え、自らの手で実行することです」といった記述は、証拠隠滅を推奨しているかのように受け止められ、批判の対象となっている。また、「説得できない有権者は抹殺すべきである。この抹殺とは人を殺すことではなく、政治的活動を一切させないように工作することだ」といった扇動的な文言や、「捜査当局の動きは実態全てをつかむことは出来ませんが、日頃のつきあいの中で確認する必要があります。事件への対応の第一歩は、まず押収物をなくすことです」といった、司法への対抗策を示唆する内容も引用され、ユーザーからは「犯罪の手引き書だ」「不気味だ」といった懸念の声が上がっている。
一方で、高市氏の推薦文を擁護する意見も少なくない。これらの意見は、「ヒトラーの戦略を教材にする事は間違っていない」「政治学では、彼が選挙を通じて独裁権力を手にしたプロセスを知る事は、現代の民主主義を守る不可欠なステップとされている」と主張。ヒトラーの戦略を分析することと、それを崇拝することとは明確に異なるとし、「全ての歴史学は成立しない」と反論している。かつてのナチスドイツのプロパガンダを主導したゲッペルスの宣伝手法が、現代の広告・CM業界で分析されることに例え、政治戦略の研究の一環であると位置づける見解も示されている。
しかし、高市氏が首相に就任して以降、イスラエルとの防衛分野での提携を重視し関係強化を進めているとされる現状と、過去の「ヒトラー選挙戦略」推薦の経緯との間で、「支離滅裂な外交」であるとの指摘も浮上。さらに、「ヒトラーがやった全権委任法(白紙委任法)からの独裁」や「障害者安楽死計画」と酷似した「成年後見制度」の改正・運用といった、他の論点とも結びつけて批判する声も聞かれる。また、ネオナチ団体の代表者とのツーショット写真が過去に報じられたことなども、関連付けて言及されている。
今回の「ヒトラー選挙戦略」を巡る議論は、政治家の過去の言動が現代の価値観や政治的文脈の中でどのように評価されるか、そして歴史上の人物や出来事の「分析」と「賛美」の線引きはどこにあるのかという、複雑な問題を浮き彫りにしている。絶版となった書籍のわずかな情報から、高市氏の政治姿勢や思想を巡る解釈がSNS上で交錯し、その議論はまだ収束する気配を見せていない。
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