フレスコ画「Ecce Homo」の“修復失敗”で世界を驚かせた女性、94歳で永眠
スペイン北部ボルハの教区教会にあるフレスコ画「この人を見よ(Ecce Homo)」の修復に「失敗」し、世界的な話題となったセシリア・ヒメネスさんが94歳で死去しました。彼女の死は、10年以上前の「世紀の修復失敗」を巡る人々の記憶を呼び起こし、改めてそのユニークな功績に注目が集まっています。
2012年、当時80代だったヒメネスさんは、地元ボルハにある聖母マリアを祀る教会で、エル・ías・ガルシア・マルティネスが描いたとされる19世紀のイエス・キリストのフレスコ画が湿気で損傷しているのを見かね、司祭の許可を得てボランティアで修復を試みました。しかし、その結果は元の絵とは大きく異なる、まるで「サル」のような姿となり、インターネット上で瞬く間に拡散。「Ecce Mono(このサルを見よ)」などと揶揄され、世界中で大きな騒動を巻き起こしました。
当初は「美術品の破壊」として非難の的となり、ヒメネスさん自身も深い苦悩を味わいました。しかし、この前代未聞の「修復失敗」が思わぬ結果をもたらします。それまで無名だったボルハの教会には世界中から観光客が殺到し、翌2013年には約5万7000人が訪れる一大観光地へと変貌しました。入場料収入は地元の経済を潤し、介護施設の運営費用などに充てられるなど、地域社会に多大な貢献をしました。
X(旧Twitter)上では、彼女の訃報に際し、「失敗は成功のもとを体現した」「ある意味、天才」「無名の教会を一躍有名にした偉人」といった声が上がっています。また、彼女の修復は「賛否両論を巻き起こしたものの、地元住民には愛され、教区も観光で潤った」という情報に、「心が温かくなった」と追悼するコメントも見られます。一方で、「元の文化財の価値を守るのが修復であり、これを『結果オーライ』とするのはまずい」と、美術品の修復における本来の意義を問う声も存在し、彼女の功績に対する評価は多角的です。
ヒメネスさんは、このフレスコ画の著作権収入の一部も受け取り、そのユニークな出来事を通じて、地域に新たな生命を吹き込みました。善意から始まった修復が、予期せぬ形で世界中の人々の記憶に刻まれる結果となった、彼女の人生は、まさに現代アート史における特異な一章として語り継がれるでしょう。謹んでご冥福をお祈りします。
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