女優・吉行和子さん 肺炎で死去、90歳 数々の名作に出演
女優でエッセイストとしても幅広く活躍した吉行和子さんが、9月2日未明に肺炎のため90歳で永眠されました。所属事務所「テアトル・ド・ポッシュ」が8日に発表し、故人の遺志により葬儀は近親者のみで執り行われたと伝えられました。
吉行さんは1950年代から舞台、映画、テレビドラマで長きにわたり活躍。そのキャリアは多岐にわたり、多くの視聴者や観客に深い印象を残しました。特に、映画では大島渚監督の『愛の亡霊』(1978年)で主役を演じ、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞やブルーリボン賞主演女優賞を受賞するなど、その演技力は高く評価されました。山田洋次監督の『東京家族』や『家族はつらいよ』シリーズでも存在感のある演技を見せ、「お父さんが、私のストレス…!」と熟年離婚を切り出す妻役は多くの共感を呼びました。
テレビドラマでは、国民的ドラマ『3年B組金八先生』シリーズで家庭科の池内先生役を演じ、生徒たちを見守る優しい先生として親しまれました。同作で共演した武田鉄矢さんや直江喜一氏ら多くの関係者からも追悼の声が寄せられています。また、『ふぞろいの林檎たち』では柳沢慎吾さん演じる主人公の母親役、『ナースのお仕事』シリーズでは根本婦長役を演じ、その安心感のある存在で視聴者を魅了しました。NHKの連続テレビ小説『あぐり』では、実の母親がモデルとなった役柄でも知られています。
演技の幅広さだけでなく、エッセイストとしても多数の著書を執筆し、その独特の視点と軽妙な文体で多くの読者を引きつけました。その個性的な人柄は、岸田今日子さんや冨士眞奈美さんといった同時代の女優たちとも比較され、「チャーミングな毒」を持つ存在として愛されました。
最晩年までお元気に活動されているイメージが強く、今回の訃報に際しては「寂しい」「ショック」といった声が多く寄せられています。多くの作品で「母のような存在」や「芯が強く優しげな人物」を演じ、人柄の良さが滲み出る女優として愛され続けた吉行和子さん。その功績と魅力は、これからも人々の記憶に深く刻まれていくことでしょう。
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