「特区民泊」離脱の動き、大阪府内で加速 7市町が意向、宿泊業界は「廃止」要望

大阪府内で、国家戦略特区制度に基づく「特区民泊」から7市町が離脱する意向を示したことが29日、明らかになりました。住民からの騒音やごみ問題、治安悪化などの苦情が相次ぐ中、旅館・ホテル業界からも制度廃止を求める声が上がっており、特区民泊のあり方が改めて問われています。

離脱の意向を表明したのは、茨木市、大東市、箕面市、藤井寺市、四條畷市、島本町、豊能町の7市町です。大阪府が保健所を設置していない34市町村を対象に実施した意向調査に対し、これら7市町は全域で特区民泊に関する特区対応を終了するとの回答をしました。

特区民泊は、インバウンド(訪日外国人観光客)需要への対応を目的として、安倍政権下で規制緩和が進められた政策の一つであり、全国の特区民泊の約95%が大阪府に集中しています。しかし、制度開始以降、利用者のマナー問題に起因する騒音やごみの不法投棄、住民感情の悪化、さらには無許可営業の「白タク」の横行など、地域住民との間で深刻なトラブルが多発。「観光客が泊まるエリアは分けるべき」といった厳しい意見も聞かれます。

こうした状況を受け、大阪市と大阪府に対し、ホテルや旅館の業界団体が「特区民泊」制度の廃止を求める要望書を提出しました。既存の宿泊施設が法律や規制に厳しく縛られる一方、特区民泊はそうではない現状に危機感を募らせています。要望書では、「住民感情を悪化させるだけの特区民泊は即座に廃業してもらいたい」と強く訴え、行政による積極的な対処を求めています。

特区民泊の推進に深く関わってきた大阪維新の会や吉村洋文代表(大阪府知事)に対し、政策の失敗を指摘し責任を求める声も高まっています。吉村氏自身も「新規は停止」との姿勢を示しているものの、これまでの推進政策への見直しが迫られる形となっています。

今回の7市町の離脱意向は、全国各地の市町村に波及する可能性も指摘されており、大阪・関西万博後の宿泊施設状況の変化も考慮に入れるべきだとの声も上がっています。特区民泊制度の今後について、さらなる議論が求められます。

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