過去最長7年9か月の「黒潮大蛇行」が終息、海洋環境や漁業への影響に注目
気象庁と海上保安庁は29日、日本の太平洋側を流れる黒潮が南に大きく湾曲する「黒潮大蛇行」が2025年4月に終息したと発表しました。2017年8月の発生以来、実に7年9か月に及ぶ過去最長の蛇行となり、この長期にわたる現象が日本の海洋環境や漁業、気候に与える影響について、各方面から大きな関心が寄せられています。
黒潮大蛇行は、通常であれば本州に沿って流れる黒潮が、紀伊半島沖などで大きく南に迂回する現象です。この長期的な蛇行は、沿岸部の水温変化を引き起こし、カツオやシラス、サンマといった主要な漁業資源の回遊経路や生息域に影響を与えてきました。特にサンマについては、近年不漁が続き、価格が高騰していましたが、今回の終息により「再び庶民の味に?」と期待する声が上がっています。
今回の終息を受けて、和歌山や高知、駿河湾、東海、紀伊半島沖といった地域の釣り愛好家からは、釣果への好影響を期待する声が聞かれます。三重大学生物資源学部の松田浩一教授も、朝日新聞の取材に対し、水温変化とカツオ・シラス漁獲への影響について解説を寄せています。一方で、黒潮大蛇行が終息したとしても、漁業資源減少の根本的な問題は残るとの指摘もあり、持続可能な漁業のための取り組みの重要性も改めて浮き彫りになっています。
また、黒潮大蛇行は日本の気候にも影響を及ぼすとされ、猛暑や豪雨といった異常気象との関連性も議論されてきました。しかし、今年の夏は全国的に厳しい猛暑や豪雨に見舞われた地域も多く、「黒潮大蛇行が収束しても、環境はすぐには元に戻らないのではないか」という懸念の声も上がっています。
さらに、一部では黒潮大蛇行の終息が南海トラフ巨大地震の発生と関連するのではないかという憶測も流れていますが、科学的な根拠は示されていません。過去にはペリー来航時にも黒潮大蛇行が発生していたとの説もあり、この複雑な海洋現象が日本の歴史や文化に与えてきた影響を考察する動きも見られます。
気象庁と海上保安庁は、今後も黒潮の状況を監視し続けるとしており、今回の過去最長の大蛇行の終息が、今後日本の自然環境、経済、そして社会にどのような変化をもたらすのか、引き続き注目が集まることでしょう。
コメント
コメントを投稿