SNSで「人の上に立つ」がトレンドに――ライブでの危険行為からリーダーの資質まで多角的に議論
「人の上に立つ」という言葉がSNS上で大きな注目を集めている。このトレンドの背景には、音楽ライブにおける危険行為への警鐘と、組織を率いるリーダーに求められる資質への問いかけという、大きく異なる二つの文脈がある。
人気ロックバンドSiMのボーカルMAH氏は、自身のSNSで「人の上に立つリフト」と呼ばれる行為を今後SiMのライブと主催イベントで禁止すると発表した。「大きな事故が起こる前に、これ以上流行るのを止めたい」と切実な思いを語っている。この「人の上に立つリフト」については、具体的にどのような行為を指すのかユーザー間で解釈が分かれているものの、「肩車からのダイブ」や「肩の上に足を乗せる」といった危険な行為を連想する声が多く、巻き込まれた際の深刻な危険性(「死んでもおかしくないくらい危ない」)を指摘する意見が相次いでいる。バンド側からの自発的な注意喚起に対し、ファンからは「全面的に支持する」「ありがたい」といった賛同の声が多数寄せられており、安全なライブ環境を求める共通認識が示された形だ。この話題はYahoo!ニュースのトレンドランキングにも浮上し、「人の上に立つ」が上位にランクインするきっかけの一つとなった。
一方で、「人の上に立つ」という言葉は、ビジネスや社会におけるリーダーのあり方についても活発な議論を呼んでいる。SNSでは、上司や組織のトップに対し、「15個以上歳が離れた部下の成果を認めずに拗ねる」「素直に褒めることもできない」といった振る舞いを批判し、「人の上に立つな」「みっともねぇ」と糾弾する投稿が散見される。
リーダーには「実行力も調整力も必要」であり、「精神面での負担も大きい」という現実的な意見も出る中、「言葉遣いを気を付けることはもちろん、心構えから見直さなければならない」といった、人間性や倫理観を重視する声も挙がっている。また、政治家や公の立場にある人物に対して「国家観も命を張る気概も無い」「ただの腑抜け」と評し、「人の上に立つ人間ではない」と厳しく批判する声も見られる。
歴史上の人物、勝海舟の言葉を引用し、「亜米利加では、政府でも民間でも、およそ人の上に立つものは、みなその地位相応に怜悧で御座います。この点ばかりは、全く我国と反対のやうに思ひまする。」と、明治初期の視点から日本のリーダーシップについて言及する投稿もあり、「人の上に立つ」という概念が時代を超えて議論されてきたことが伺える。
今回のSNSトレンドは、一見関連性のない事柄が同じキーワードで結びつき、ライブハウスの安全問題から、現代社会におけるリーダー像の課題まで、多岐にわたる議論を喚起していることを示している。
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