同人誌印刷の老舗「あかつき印刷」が廃業、クリエイターから惜別の声と業界の未来への懸念
長年にわたり同人誌制作を支えてきた老舗印刷会社「あかつき印刷」(新潟県魚沼市)が廃業を発表し、SNS「X」上では多くのクリエイターやファンから驚きと惜しむ声が相次いでいます。1989年頃から同人誌印刷を手がけ、高品質ながら良心的な価格設定と丁寧な対応で多くの支持を得てきた同社に対し、利用者からは「初めての同人誌印刷でお世話になった」「いつも親切丁寧だった」「おいしい新米もうれしかった」といった感謝の声が寄せられています。
「あかつき印刷」の廃業は、同人誌印刷業界全体が抱える厳しい現状を改めて浮き彫りにしました。あるユーザーは、「同人誌印刷なんて印刷業界から見たら極々小ロットサイズの注文、しかも個人からなんていうめんどくさい案件を引き受けてくださってるの本当に感謝しなきゃいけない」と述べ、専門印刷所が担ってきた役割の重要性を強調しました。
近年、新型コロナウイルス感染症の影響や紙媒体離れが進む中で、コミックマーケットなどの大規模イベントや中小規模イベントでも新刊発行数が減少傾向にあり、同人誌専業の印刷所は特定の時期以外に仕事が減り、経営を圧迫していると指摘されています。さらに、紙代、オフセットインク、機械パーツ、輸送費といったあらゆる資材が高騰しており、印刷価格の維持が困難な状況にあります。
過去には「スズトウシャドウ」や「ROSA ROZZA」など、同人誌印刷を手がける多くの老舗企業が事業を終了しており、今回の「あかつき印刷」の廃業は、同人誌文化を支える基盤が揺らいでいることへの危機感を強めています。X上では「同人誌印刷してくれる業者さんが減っていく」「コミケより先に同人誌印刷を請けてくれる印刷所が無くなりそう」といった懸念の声が聞かれます。
一方で、日本一安い同人誌印刷を自称する「ちょ古っ都工房」のような企業も存在し、厳しい環境下でも活動を続ける印刷所もあります。しかし、全体としては「専門のところは専門の良さがあるのに」と、同人誌文化特有のニーズに応えてきた印刷所の減少を惜しむ声が多数を占めています。
この状況に対し、「日本全体が貧しくなってるからなあ…お金に余裕がなければカルチャーそのものが衰退していくのは道理で、危機的状況と感じます」といった社会経済的な視点からの意見も見られます。同人誌はクリエイターの表現の場であると同時に、読者にとっても手軽に入手できる貴重な「紙媒体」文化です。今回の「あかつき印刷」の廃業は、同人誌文化の転換点となる可能性を秘めており、今後の業界の動向が注目されます。
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