デジタル教科書導入に揺れる日本:海外の「揺り戻し」と学力低下への懸念
日本政府が2030年度からの学校でのデジタル教科書本格導入を目指す中、SNS上ではこの政策に対する賛否両論、特にその効果と運用に関する懸念が噴出しています。
文部科学省の諮問機関である中央教育審議会は、デジタル教科書を正式な教科書として位置付け、検定や採択、使用義務の対象とする方針を打ち出しました。しかし、国内外の研究成果や先行導入国の事例から、「行き過ぎ」を指摘する声が多く上がっています。
海外では「紙」への揺り戻し
特に注目されるのは、韓国や北欧(スウェーデン、フィンランド)でデジタル教科書導入後に「揺り戻し」の動きが見られるという読売新聞オンラインの記事です。これらの国々では、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)スコアの低下が見られた後、紙の教科書重視へと回帰する傾向にあります。一部の研究では、「記憶に残りやすいのはデジタルより『紙』」との成果も報告されており、識字能力や読解力への悪影響が指摘されています。
SNS上では、「北欧が一回デジタル教科書でズッコケて紙に戻したの見てるのに、日本は『周回遅れで同じ壁に正面衝突しに行く国』」といった政府の政策決定プロセスに対する批判や、「手段と目的が逆行している」との意見が多数を占めています。
学力低下と利用実態への懸念
デジタル教科書が学力低下を招くという懸念は根深く、「デジタル教科書は見る(テレビと同じ)教科書(書籍)は読む!使う脳が全く違う」という専門家の見解も引用され、読解力の著しい低下や痴呆の低年齢化を危惧する声も聞かれます。
また、生徒の利用実態についても、「買わせたタブレットでYouTubeを無限に見て遊んでる」「デジタル教科書を開くふりをして、違うタブを開けばくだらないゲームでもしているだろう」といった教師や保護者からの報告があり、誘惑の多いデジタル端末が学習の妨げになる可能性が指摘されています。
その他にも、「デジタル教科書は目疲れない?」「複数同時に広げて俯瞰できないのと書き込みが自由にできない」といった具体的なデメリットや、「漢字は手で覚えることもある。紙に書けば思い出す、しかし、デジタルでは思い出しようがない」と、身体的・感覚的な学習体験の喪失を指摘する声も上がっています。
運用の課題と費用負担
端末の運用面でも課題が浮き彫りになっています。例えば、「100%充電しても1日持たない」ような古い端末の使い回しや、バッテリー劣化による交換費用を家庭に転嫁する対応への不満が投稿されています。過去には、導入された中国製端末が速攻で不具合を出した事例も指摘されており、品質や情報セキュリティへの懸念も拭えません。
デジタル教科書導入の真の目的についても疑問が呈されており、「子どもの学力上げたいのか」「紙代と保管コスト削りたいのか」「IT業者に予算流したいだけなんか…」といった声が上がり、費用対効果や利権構造への疑念が示されています。
デジタル化のメリットと今後の展望
一方で、デジタル化のメリットを認める意見も存在します。「忘れ物をする子供にとってはデジタル教科書はなんともまあ心強い味方だよ」という利便性や、「機能が全然違うじゃん。デジタル教科書は動画が見れるんだから。音声も流れるし。物は使い用でしょ」と、動画や音声といった多機能性を評価する声もあります。また、教員がデジタル教科書とデジタル黒板を併用する授業には大きなメリットがあるとの見解も示されています。
デジタル教科書の導入は、教育現場に大きな変革をもたらす可能性を秘めていますが、学力への影響、運用コスト、公平性、そして海外の失敗事例から学ぶ姿勢が求められています。紙とデジタルのそれぞれの利点を活かし、真に子どもの学びを深めるための慎重な議論と、柔軟な政策運用が不可欠と言えるでしょう。
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