岩手銀行本店に子グマ侵入、盛岡中心部で一時騒然 麻酔で捕獲

2025年10月28日朝、盛岡市中央通に位置する岩手銀行本店の地下駐車場に子グマ1頭が侵入し、盛岡市の中心部で一時騒然となりました。岩手県警や市の担当者が駆けつけ、約3時間半にわたる対応の末、子グマは無事、麻酔の吹き矢を用いて捕獲されました。

盛岡市中心部でクマ出没、市民に動揺広がる

岩手県警によると、午前6時45分頃、岩手銀行本店の警備員から「地下駐車場に子グマがいる」と110番通報がありました。現場は、県庁、市役所、地方裁判所などが立ち並ぶ盛岡市を代表する官庁街であり、普段から多くの人々が行き交うエリアです。地下駐車場は直ちに閉鎖され、周辺住民や通勤・通学者への警戒が呼びかけられました。

現場では、捕獲のための箱わなが設置されるとともに、麻酔銃を携えた専門家が投入され、慎重な作業が進められました。そして午前10時過ぎ、子グマに麻酔が打たれ、無事に捕獲。人的被害は報告されていません。

広がるクマの都市部侵入、背景に何が

今回、県都盛岡の中心部という場所にクマが出没したことは、市民に大きな衝撃を与えています。「まさかこんなビル街に」「もうどこも安心できない」といった驚きと不安の声がSNS上でも多く見られました。現場周辺では前日夜から親子のクマらしき複数の目撃情報が寄せられていたとされており、今回侵入した子グマもその一頭である可能性が指摘されています。

近年、東北地方を中心にクマの出没件数は増加傾向にあり、市街地での目撃情報も頻発しています。この背景には、ドングリなどのエサ不足や、温暖化による冬眠時期の遅れ、生息域の拡大などが複合的に絡み合っていると考えられています。特に冬を前にしたこの時期は、クマがエサを求めて活発に動き回るため、警戒がより一層必要とされます。

捕獲された子グマの今後の処遇については、関係機関で検討が進められるものとみられます。