幻の「のらくろ」掲載「戦時版よみうり」発見 長野の図書館で、デジタル化へ

長野県立長野図書館に、太平洋戦争中の読売新聞「戦時版よみうり」の貴重な保存紙が所蔵されていることが明らかになりました。これらの資料は、読売新聞本社にも残っていなかった期間のものを多く含んでおり、戦時下の社会状況や新聞紙面を知る上で重要な発見となります。

中でも注目されるのは、戦前・戦後にかけて国民的人気を博した漫画家、田河水泡氏の代表作「のらくろ」の4コマ漫画が掲載されていたことです。田河氏自身も自叙伝で戦中(1941年以降)の作品にほとんど言及しておらず、「のらくろ」の連載は事実上空白期と見られていました。今回発見された紙面には、この空白期にあたる時期の「のらくろ」が描かれており、「貯金をすれば戦力の一部になり、戦争に勝てば元手に利子がつく」といった、当時の国策や社会情勢を反映したとみられる内容も含まれているといいます。

これらの「戦時版よみうり」は、戦時下の庶民生活や文化、メディアの役割を研究する上で極めて貴重な資料です。長野県立長野図書館が長年にわたり大切に保存してきたことが、今回の発見につながりました。

読売新聞社は、発見された資料をデジタル化する作業を進めており、2025年8月以降、同社の記事データベース「ヨミダス」を通じて、オプション契約した図書館などで一般の閲覧が可能になる予定です。これにより、幻とされていた「のらくろ」の戦中作品を含む貴重な記録が広く利用できるようになります。

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