ストリートピアノをめぐる論争:誰でも自由に?それともプロの演奏の場?
最近、SNS上で「ストリートピアノ」をめぐる議論が活発化している。その発端は、ある商業施設に設置されたストリートピアノに関する掲示にあった。掲示には、上手な演奏を求めるような内容が書かれており、それが多くの批判を招いている。
批判の多くは、ストリートピアノ本来の理念を逸脱しているという点にある。誰でも自由に演奏できることがストリートピアノの魅力であり、演奏の上手さに関係なく、誰でも楽しめる場であるべきだと主張する意見が多い。設置場所が商業施設内のフードコートである点も、批判の的となっている。ストリートピアノは本来、街の路上などに置かれ、不特定多数の人が気軽に演奏できる場所であることから、商業施設内での設置は「ストリート」という概念に反すると指摘されている。
一方、施設側の意図としては、来場者にとって心地よいBGMを提供したいという思いもあったと推測される。しかし、その意図が「上手い演奏のみ」という条件に限定され、初心者や演奏に慣れていない人々を排除するような形になってしまったことが、批判を招いた大きな要因と言えるだろう。中には、施設側が「上手な演奏をタダで聴かせてもらう」という考えでストリートピアノを設置しているのではないかと指摘する声もある。
この論争は、「ストリートピアノ」という概念そのものの再考を促すものとなっている。誰でも自由に演奏できる場所としての「ストリートピアノ」と、商業施設におけるBGM提供という目的を両立させることは可能なのか、その在り方が問われていると言えるだろう。また、施設側が、演奏技術に関係なく楽しめる雰囲気作り、もしくはプロの演奏家を雇うなど、より明確な方針を示す必要性が浮き彫りになっている。
さらに、この論争は、SNSの特性を活かした議論の広がり方にも注目が集まっている。Twitterなどのプラットフォームを通じて、多様な意見が瞬時に拡散され、議論が活発化している。このことは、社会問題への関与の容易さを示す一方で、情報が偏ったり、誤解が生じたりする可能性も示唆している。
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