博覧強記の作家・評論家 紀田順一郎氏が90歳で逝去、広範な業績に惜しむ声

作家、評論家、翻訳家として多岐にわたる分野で活躍した紀田順一郎(きだ・じゅんいちろう)氏が90歳で逝去したことが、4日、東京創元社など関係各所から発表されました。この訃報はSNS上で瞬く間に拡散され、「紀田順一郎」がYahoo!のトレンドワード上位にランクインするなど、その功績の大きさが改めて浮き彫りになりました。

紀田氏は神奈川県横浜市中区に生まれ、慶應義塾大学経済学部を卒業。商社勤務を経て執筆活動に専念しました。文芸評論、メディア評論、小説、翻訳、幻想文学の創作、日本近代史研究と、その活動領域は極めて広範に及び、博覧強記の知識と深い洞察力で多くの読者を魅了しました。

特に書物文化や古書に関する造詣の深さは、「蔵書一代」「夜の蔵書家 古本屋探偵の事件簿」といった著作に結実し、書物を愛する人々の間でバイブルとされてきました。幻想文学の分野では、作家の荒俣宏氏とともに「世界幻想文学大系」(全45巻)を編集したほか、「M・R・ジェイムズ怪談全集」などの翻訳を手がけ、日本の幻想文学界に多大な影響を与えました。

代表作には「日本の書物」「謎の物語」「日本賭博史」「幻想と怪奇の時代」「東京の下層社会」など多数があり、推理小説の評論や、映画史上のベストテン企画にも寄稿するなど、その影響力は文学界に留まりませんでした。

紀田氏の訃報に接し、東京創元社や松籟社をはじめとする多くの出版社が追悼の意を表明。作家や編集者からも、「この先生に書評で褒めていただけたら本望だった」「十代の頃に読んだ『謎の物語』は今でもバイブル」といった声が寄せられ、その人柄と業績を偲びました。また、「社会というところは、短期間に見ればアンフェアなところもある。しかし、長期的に見れば必ずフェアなものだ。それだけに努力さえしていれば、必ず誰かひとりは見ていることを忘れるな」という紀田氏の言葉を共有し、その哲学を讃える投稿も見られました。

多岐にわたる知見と深い洞察力で、日本の文化・文学界に確固たる足跡を残した紀田順一郎氏。その偉大な功績は、これからも長く語り継がれていくことでしょう。謹んでご冥福をお祈りいたします。

コメント

このブログの人気の投稿

Snow Man、世界的ブランド「YOHJI YAMAMOTO」と豪華コラボ!ファン歓喜、ラウールの活躍が結実

小学生空手大会で起きた後頭部蹴り事件、蹴られた方が3年間出場停止に 世論の批判が殺到

「肉屋を支持する豚」がSNSでトレンド入り 国民の政治不信と皮肉表現が注目